ヒト培養細胞の放射線耐性を向上させる新規タンパク質をクマムシのゲノムから発見した論文がNature Communications誌に掲載されました

当センターの 小原 雄治 センター長 および 片山 俊明 特任研究員の参加する研究グループによる論文 “Extremotolerant tardigrade genome and improved radiotolerance of human cultured cells by tardigrade-unique protein” がNature Communication誌に掲載されました。本研究で解析されたヨコヅナクマムシのゲノム配列とデータベースは片山の運用するhttp://kumamushi.org/で公開しています。

 

論文はオープンアクセスで、下記URLからご覧いただけます。
http://doi.org/10.1038/ncomms12808

 

Takuma Hashimoto, Daiki D. Horikawa, Yuki Saito, Hirokazu Kuwahara, Hiroko Kozuka-Hata, Tadasu Shin-I, Yohei Minakuchi, Kazuko Ohishi, Ayuko Motoyama, Tomoyuki Aizu, Atsushi Enomoto, Koyuki Kondo, Sae Tanaka, Yuichiro Hara, Shigeyuki Koshikawa, Hiroshi Sagara, Toru Miura, Shin-ichi Yokobori, Kiyoshi Miyagawa, Yutaka Suzuki, Takeo Kubo, Masaaki Oyama, Yuji Kohara, Asao Fujiyama, Kazuharu Arakawa, Toshiaki Katayama, Atsushi Toyoda, and Takekazu Kunieda, “Extremotolerant tardigrade genome and improved radiotolerance of human cultured cells by tardigrade-unique protein”, Nature Communications, doi: 10.1038/ncomms12808

 

クマムシは乾燥・高温・低温・高圧・真空・放射線などによる極限環境に驚異的な耐性を示す1mm未満の微小動物で、ヒトの半致死量の約1000倍のX線照射にも耐えます。また節足動物や線形動物など脱皮動物の分岐に近く、クマムシだけで独自の緩歩動物門をなしている進化的にも興味深い生物です。本研究グループはクマムシの中でも特に耐性の高いヨコヅナクマムシを札幌で採取し、培養方法の確立、ゲノム配列の解読、遺伝子機能の解析を行ってきました。その結果、クマムシ固有の遺伝子からDNAの保護機能を持つ遺伝子Dsupを発見し、これをヒトの培養細胞に導入したところX線耐性が向上することを報告しました。本研究データはクマムシの持つ極限環境耐性の解明や動物進化の解析に有用で、将来的に様々な応用研究のための基盤となります。