--- --- 糖尿病のターゲットリシークエンスに関する論文がDiabetes Research and Clinical Practice誌に掲載されました | DBCLS

糖尿病のターゲットリシークエンスに関する論文がDiabetes Research and Clinical Practice誌に掲載されました

当センターの藤原豊史特任助教が参加した、東京大学大学院医学系研究科の門脇孝名誉教授(現・国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 院長)、山内敏正教授、庄嶋伸浩特任准教授、細江隼助教、東京医科歯科大学の宮冬樹講師らの研究チームによる論文 “Clinical usefulness of multigene screening with phenotype-driven bioinformatics analysis for the diagnosis of patients with monogenic diabetes or severe insulin resistance” が国際糖尿病連合の学会誌Diabetes Research and Clinical Practiceに掲載されました。下記URLからご覧いただけます。
https://doi.org/10.1016/j.diabres.2020.108461

糖尿病の大部分は1型・2型糖尿病ですが、単一遺伝子異常によって糖尿病を発症する場合があり、複数のサブタイプが知られています。本研究では、単一遺伝子異常が疑われる糖尿病または高度インスリン抵抗性を認める患者を対象として、次世代シークエンサーと表現型を用いたバイオインフォマティクス解析を組み合わせた遺伝学的検査システムを、研究の解析ツールとして補助的に活用しました。そのうち1例では、「インスリン濃度が高い」「月経が無い」といった症状と遺伝子変異の情報を利用して解析を行いました。遺伝の専門医とも議論した上で、インスリン受容体遺伝子異常に伴い、体内のインスリンがうまく働かないため血糖値が不安定になる「インスリン受容体異常症」と診断。定期的に血液検査をし、必要に応じて代謝を改善する薬剤を使うことを検討する、との治療方針が決まりました。同様にして、複数の症例で疾患原因と考えられるバリアントを同定しました。今回用いた手法は、今後、他のさまざまな疾患分野で利用されることが期待されます。

本研究においてDBCLSは、PubCaseFinderを通じて疾患原因となり得るバリアントの優先順位付けのためのインシリコ解析に貢献しています。DBCLSが公開するPubCaseFinder (https://pubcasefinder.dbcls.jp) は患者の症状を入力すると、関連性の高い順に希少・遺伝性疾患、疾患原因遺伝子、および公開症例を提示します。