--- --- 言語モデルを用いたCRISPR-Casシステムを利用した塩基編集のRNAオフターゲットリスクの組織特異的予測に関する論文がInternational Journal of Molecular Sciences に掲載されました | DBCLS

言語モデルを用いたCRISPR-Casシステムを利用した塩基編集のRNAオフターゲットリスクの組織特異的予測に関する論文がInternational Journal of Molecular Sciences に掲載されました

当センターの坊農秀雅客員教授、内藤雄樹客員准教授、元メンバーである小野浩雅氏(現・プラチナバイオ株式会社)が参加する研究グループの論文 ”Risk Prediction of RNA Off-Targets of CRISPR Base Editors in Tissue-Specific Transcriptomes Using Language Models” がInternational Journal of Molecular Sciences (IJMS) のSpecial issue: Research Advances in the Bioinformatics of Genome Editing and Gene Function Analysis に掲載されました。論文は下記URLからご覧いただけます。

https://doi.org/10.3390/ijms26041723

CRISPR-Casシステムを利用した塩基編集ツール(特にシトシン塩基エディター:CBE)は、DNA二本鎖切断を起こさずに遺伝子を改変できる画期的な技術ですが、意図しないRNA編集(RNAオフターゲット作用)が生じる可能性があり、その実態は十分に解明されていませんでした。
本研究で新たに開発されたCBEによるRNAオフターゲット作用の解析パイプラインPiCTUREは、これまで知られていたRNAオフターゲット作用のパターンに当てはまらない、RNAオフターゲット作用が多数発生することを明らかにしました。
さらに、DNA言語モデルであるDNABERT-2を活用したRNAオフターゲット作用を高精度で予測する機械学習モデルSTLとSNL(別称:RNAOffScan)が開発されました。このようなRNAオフターゲット作用の予測の応用例として、新規パイプラインPROTECTiOを構築することで、特定の組織におけるリスク予測が可能になりました。例えばヒトの場合は脳や卵巣ではリスクが低い一方、結腸や肺では高いリスクがあることが予測されました。
本研究により提供されたRNAオフターゲット作用の分析と予測の標準的な枠組みは、CBEの安全性評価の向上に向けた重要な一歩となり、塩基編集の特異性の向上と治療適用性の促進が期待されます。